ホーム > 介護障がい福祉 > 介護事業の特徴と留意点 > 7. 介護療養型医療施設の特徴と留意点は?
介護事業の
特徴と留意点
介護療養型医療施設は、1992年の医療法改正で、一般の病院に比べて病床面積や廊下幅を広げ、食事・談話室を設けるなど療養環境を整備する目的で創設された、病床区分です。
それが2000年の介護保険法の施行で、介護保険法に基づく、特養・老健・介護療養病床の三施設の一つとして、改編されました。医療法上の医療提供施設であり、三つの施設の中で最も、医療対応力が高くなっています。
介護保険法では、療養病床を有する病院又は診療所であって入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理・看護・医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設と定義されております。
2014年4月現在、全国に病院1183、診療所341、計1532の施設があり、また病床数は7万1328床となっています。要介護4・5の入所者の割合は、約88%で年々、増加傾向にあります。
また、介護療養型医療施設では喀痰吸引、経管栄養、膀胱留置カテーテル等の医療処置も、老健より高い頻度で実施されています。
人員基準としては、医師は医療法に規定する必要数以上(48対1)、薬剤師は医療法に規定する必要数以上(150対1以上)、看護職員6対1以上、介護職員6対1以上、PT・OT実情に応じた適当数、栄養士は医療法に規定する必要数以上(100床以上の場合)、ケアマネジャー1人以上(100対1)とされています。
設備基準としては1室当たり定員4名以下、入院患者1人当たり6.4㎡以上、機能訓練室40㎡以上、食堂1㎡×入院者数以上、廊下幅1.8m以上(中廊下は2.7m以上)、浴室の整備が必要です。さらにユニット型の場合は、共同生活室を設置して、病室を共同生活室に近接して一体的に設置することが必要です。
介護療養型医療施設の介護報酬は、利用者の要介護度と職員配置に応じた基本サービス費として設定されています。たとえば、介護職員4:1の配置の割合で、要介護5は1251単位となります。定員100名で2級地の場合、収入は以下のとおりとなります。
月当り介護報酬は 100人 × 単位数(1251)× 30日 × 11.12 = 4173万3360円
厚生労働省の介護事業経営実態調査(平成23年)によりますと、介護療養型医療施設の1ヶ月当り収入は、平均定員73.9名で介護報酬が3948万円、査定減等を差引すると3918万円に対し介護事業費用3383万円を控除し、介護外費用を差引きすると447万円の黒字になっています。
介護療養型医療施設は、2006年の医療構造改革法で2012年3月31日をもって廃止が決まり、老健等への転換が促されたが、その後転換が進んでいないことが判明、2011年の介護保険法の一部改正で転換の期限を6年延長し、2018年3月31日までとすることになりました。(但し新設は認めない。)
そして介護保険法改正時に「介護療養型の廃止期限の延長について、数年後に実態調査を行い見直しを行う」旨の附帯決議が行われました。介護療養型医療施設で、医療的処置や、看取りが頻繁に行われている実態に鑑み、介護サービスを提供しながらも、医療ニーズにも対応できる施設の必要性が認められたからです。
そして、2015年の介護報酬改定では、介護療養型医療施設に新類型が設けられることになりました。
新設された報酬は、療養機能強化型AとBの二つです。重篤な身体疾患を有する者や合併症を有する認知症高齢者の割合、喀痰吸引・経管栄養・インスリン注射が実施された者の割合、ターミナルケアに係る計画が作成された者の割合などにより、医療機能の高い病床はその他の病床よりも高い単位数が設定されました。
2015年の介護報酬改正により、介護療養型医療施設の選択肢は以下のとおりとなりました。