ホーム > 社会福祉法人 > 介護事業の特徴と留意点 > 2. グループホームの特徴と留意点は?
介護事業の
特徴と留意点
グループホームとは、認知症の高齢者が9人から18人程度の人数で共同生活を送りながら、身体介護、機能訓練、レクリエーションなどが受けられる施設です。
サービスの種類は二つあります。要支援者であって認知症である高齢者には、介護予防を目的として、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の支援及び機能訓練が行われます。基本方針は、利用者の心身機能の維持回復を図り、もって利用者の生活機能の維持又は向上を目指すものとされています。
もう一つは、介護予防で要介護者であって認知症である高齢者に、日常生活上の世話及び機能訓練を行うもので、基本方針は利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができることを目指すものとされています。グループホームの指定権限は市町村にありますので、事業所を設置する場合、市町村の介護保険の整備計画の範囲内で承認を受ける必要があります。
平成21年の全国グループホーム協会の調査によりますと、法人格別では「医療法人」が最も多く、次いで「有限会社」「社会福祉法人」「株式会社」「NPO法人」の順となっています。「株式会社」「有限会社」等営利法人では、一法人で一棟の施設を保有するところもあれば、一法人で200棟以上の施設を保有し、全国に展開しているところもあります。また、グループホームが単独で設置される場合と、母体施設に併設して設置される場合があります。併設型の母体施設としては、「特別養護老人ホーム」「病院」「老人保健施設」等があります。
また2015年の介護報酬改定で、広域型特養、老健等と同一建物に併設することも可能となりました。
人員基準は代表者として経験があるか、研修を修了した者が必要です。管理者は常勤でユニットごとに配置が必要です。介護従事者は、1人以上は常勤であり、利用者3人に対して1人以上の配置と、常時夜間の配置を求められます。
設備基準としては、1又は2のユニット(定員5人以上9人以下)を有し、原則として住居は個室であり、7.43㎡(約4.5畳)以上であることが必要です。
その他、各ユニットごとの居間、食堂、台所及び浴室と消火設備が必要とされます。医療福祉機構(WAM)の調査によりますと、グループホームの入居者1人当りの延床面積は中央値で32.1㎡、1人当りの建築単価は785万円、1人当りの借入単価は578万円となっています。これを18人定員(2ユニット)で換算すると、延床面積578㎡、建築代価1億4130万円、借入額1億404万円となります。一施設のユニット数は約5割が2ユニット、4割が1ユニット、残りが3ユニット以上といわれています。
グループホームの収入は、介護保険収入と家賃、食費、その他の費用から構成されます。介護保険収入は、その施設の平均要介護度により異なってきますが、平均要介護度が3で、1日818単位、2級地とすると、2ユニットで1ヶ月当り約818単位×10.68×30日×18人 =471万7569円で、1年当り約5661万円となります。
そこに、家賃、食事その他利用料収入が加わりますので、仮に家賃5万円、その他利用料月7万円としますと、2ユニットで、介護保険収入以外の収入が2592万円となり、合計収入は8253万円となります。
なお、各種統計をみますと、定員に対する入居率は98%程度で、ほぼ満室となっています。
平成18年に、長崎県のグループホームで深夜火災が発生し、7名の入居者が亡くなる事故がありました。これを契機として平成19年に消防法施行令の改正が行れました。
この改正により火災発生時に自力で避難することが困難な人が入所する福祉施設は、小規模なものであっても、消防責任者を選定し、原則として延べ面積275㎡以上の施設はスプリンクラーの設置が義務づけられました。但し、延べ面積1000㎡未満の施設については、比較的設置コストが低い「特定施設水道連結型スプリンクラー」設置でもよいとされました。
2015年の介護報酬改定では、看取り介護の質を向上させるため、死亡日以前4日以上30日以内の看取り介護加算の単位があがりました。
また、現行では「1又は2」と規定されているユニット数について、3ユニットまで認められることが明確化されました。