ホーム > 社会福祉法人 > 介護事業の特徴と留意点 > 1. 地域密着型サービスの特徴と留意点は?
介護事業の
特徴と留意点
2006年に、従来あった居宅サービス・施設サービスに加えて、創設された新しいサービスです。今後、認知症患者や独居老人の増加が予測されるなかで、高齢者が身近な地域(日常生活圏域)での生活がおくれるようにするためのサービス体系です。市町村で提供されるサービスなので、そのサービス提供者の指定権限は市町村に移譲されており、またその市町村の住民のみが、そのサービスを利用することができます。
したがって、市町村やさらに細かく分けた圏域単位で、必要整備量を定めることで、地域のニーズに応じたバランスの取れた整備を促進することができます。
2006年の制度創設時は、
① 介護給付として、
② 予防給付として、
の9つの種類がありました。
その後、2012年に利用者のニーズに応じて、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と複合型サービスが追加され、現在は11種類となっています。
介護保険の請求に関する統計によりますと、グループホームが最も多く、平成25年4月で11837事業所となっております。次に小規模多機能型居宅介護3979、認知症対応型通所介護3735となっております。
平成24年から1年間で、事業所数が伸びているのは、地域密着型特養で21%、次に地域密着型特定施設入居者生活介護で15%の伸びとなっています。新たに創設された定期巡回・随時対応型訪問介護看護は176となっており、今後の普及が期待されているところです。
地域密着型サービスは、市町村が指定権限を有し、指導・監査についても市町村が行うこととなっています。実際には各市町村の介護保険事業計画に基づく公募に応募することにより、事業所を設置することができます。
事業の実施を希望する場合、その事業が公募されているかを調べたうえで、市町村の介護保険課と、事業の指定申請の内容が、人員基準、設備基準、運営基準に適合したものであるかについて、事前協議を行うことになります。
指定を受けるには、申請者が法人であることが必要であり、小規模多機能型居宅介護のような、施設を整備するにあたり土地及び建物が必要な場合、事業者が所有権を有するか、賃借する場合は、長期で確実な賃借契約が締結されていることが必要とされることがあるので注意が必要です。
2015年の介護保険法の改正で、利用定員が18人以下の小規模な通所介護事業所は、地域密着型サービスへ移行することになりました。移行する時期については、市町村の事務負担を考慮し、平成28年4月とされました。
移行する際の事業所指定については、施行日の前日において、市町村の長から指定を受けたものとみなすことにしているため、新たな指定の申請は不要です。制度改正の背景は小規模通所介護事業所の急激な増加による財政圧迫の問題があります。これを地域密着型サービスとすることにより、過度な事業所の増加を防ごうとするものであると言われています。
いずれにしても、平成28年4月以降は、小規模通所介護事業所は、市町村の介護事業保険事業計画において管理されることになり、それを超える開設は事実上困難になりました。
2015年の介護報酬改定で、地域密着型サービスに属する全てのサービスの報酬単価が引き下げられました。但し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のオペレーターの配置基準や、小規模多機能型居宅介護の登録定員数、グループホームと小規模多機能型居宅介護事業所が併設されている場合の夜間の職員配置等は緩和されました。
また、新たに小規模多機能型居宅介護に訪問体制強化加算、看取り連携体制加算、看護職員配置加算等が新設されました。